会場ネットワークの裏話 ー YAPC::Asia Tokyo 2014


先日行われた YAPC:Asia 2014 では無線ネットワーク提供が行われましたが、CONBUというネットワークエンジニアの有志グループが協力しました。
またCONBUの取り組みについては当日のトークでもやってきました。ちなみにこのトークは当初は私がやる予定ではなかったのですが、前夜に突然お鉢が回ってきたのでスライド作りが結局当日になってしまいトーク開始5分前にようやく形にしました。それでも会場は満席で話しを聞いて頂いたので(中身の評価はさておき)なによりです。


技術的にディープなお話しは別途書く機会があると思いますので、ここでは経緯とか準備とか当日の裏側を書こうと思います。

 

[9/6 追記: テクニカルなお話しは CONBUのブログ をどうぞ]

  • YAPC とCONBUの関わり

YAPC会場ネットワークへのCONBUの取り組みは昨年のYAPC:Asia 2013につづいて今年で2回めということになります(昨年はYAPC network teamと名乗っていました)。きっかけはとあるイベントで牧さん(去年までのYAPCの責任者)と知り合ったことです。牧さんは当初は業者に発注するつもりだったそうですが、見積もりをとったところ相当の額だったので躊躇していたそうです。そこで同じ費用をかけるなら、コミュニティ同士が交流できるような有意義な使い方をしたいということで、LLやjus方面で有名な法林さんを介してご相談を頂きました。

[9/4 10:32 追記  牧さんの記憶によると「お金払うのはいいんだけど、払ったらそれで終わりでなんにも残らないから、それだったらコミュニティの横のつながりを増やす方向でやりたい」とのことです。牧さんコメントありがとうございます!]

 

 

牧さんのこの発想には大変共感を持てました。IT系の技術コミュニティは沢山ありますが、言語系やサービス開発系のアプリ寄りのコミュニティのエンジニアと我々のようなネットワーク系のコミュニティのエンジニアはかなり関わりが薄いのを実感していました。ときおりJANOGなどのネットワーク系のカンファレンスでアプリ開発者にセッションを持ってもらうことは有りますが、なにかが足りない感を抱いていました。アプリ開発のかたにゲストで話してもらうのはそれは大変有意義なのことですが、ワンポイントで終了になってお互いが興味をもつ機会としては効果がいまいちな気がしていたのです。

 

そんなときに牧さんにコミュニティの交流を大切にしたいという言葉を聞いてすごく共感できたのです。IT系のカンファレンスの運営スタッフをやったことがあるかたは分かるかもですが、スタッフ同士がすごく仲良くなれます。我々のようなネットワークエンジニアはアプリ開発はあまり得意ではないけど、得意なネットワークで貢献できれば、スタッフ同士が深く興味をもつことができてよい交流の機会になるのではないかと思いました。

 

もし、このときの相談内容が、業者に頼むとすごく費用がかかるから安くやってくれない? ということでしたら即座に断ったでしょう。CONBUの活動でよく誤解されるのですが、我々は有志の集まりであってネットワークを安価に構築する業者ではありません。エンジニアやコミュニティ同士の交流をするのもCONBUのゴールの一つです。カンファレンスを運営するチームの一員としてお声がけ頂ければよろこんで協力したいと思っています。
もし、カンファレンス(特にビジネス向け)でネットワークをだすことだけがお望みであったら、きちんと成果の保証をしてくれる世のSIerや専門の業者に依頼されるがよいかと思います。

  • YAPC::去年とYAPC::今年
今年の構成はこちら
昨年、今年と会場が同じ慶応大日吉キャンパスの協生館なので、会場ネットワークも去年と同じだろ?と思われるかもしれません。じつは準備段階から機器や構成などなかり変わっています。
(去年の話しはこちらをどうぞ)

 

会場にいかれた方はご承知と思いますが、日吉でのYAPCは会場が複数あります。かつ会場同士が直接繫がっているわけでなく通路で隔てられています。この構成がネックでして、通路はカンファレンス参加者だけでなく一般人(学校関係だけでなく近所の人も含めて)が通るところなので、そこにLANケーブルや機器は一切置けないのです。

 

会場同士の通信のためには配線をしなくてはなりませんが、我々自身でLANケーブルを引くことは前述のとおりできませんので、協生館の既設の配線を借りました。実はこの部屋をつなぐ構成が去年と大きく変わっています。去年は施設の配線だけを物理的に借りた(つまり光ファイバやメタルケーブルの状態)のですが、それですと借用の手続きや事前の配線調査、当日の既設機器からの抜線及び結線作業、さらに後日の撤去作業やらで大変な労力がかかっていました。

 

そこで今年は構内の既設設備はそのまま使用して物理的には一切変更しないという方針で行きました。
つまり、配線とそこに繫がっているネットワーク機器の接続はそのまま使うということです。といっても大学側の既設の通信とYAPCの通信は分ける必要があるので、そこは論理的に分離(VLAN)しました。ここがなかなか悩ましくて、既設機器は大学設備なのでCONBUチーム側ではさわれませんので大学側に依頼する必要があります。

 

また、去年はインターネットと通信するためにNTT,ISPと契約して協生館にフレッツ回線を直接引き込みました。これも会場側との調整やら工事やら配線やらで相当重いタスクでした。そこで今年はWIDEプロジェクトさまとビッグローブさまに協力を頂いて会場に新規回線を敷設せずにやりました。ところが、これもなかなか難題でして、各所との調整が大変難航しました。それでも思いがけずにビッグローブ様には10Gbps回線をご提供頂いたり広域のL2接続する上でのトラブルを経験できたりと今後につながる良い機会となりました。

 

また、忘れてはならないのが今回会場となった慶応大学大学院KMDの加藤教授の支援です。先生は今回のCONBU活動を全面的にバックアップをしてくださり、学内外の各所との調整にとどまらず、機器設定や果ては当日の床配線まで、CONBUメンバーがまじビビるほどのご協力を頂きました。加藤先生はインターネットの黎明期を支えてきた巨人の一人で、我々ネットワークエンジニアにとっては仰ぎ見る存在です。今回ご一緒させていただき光栄に思っており、またそのような機会を作っていただいたYAPCには大変感謝しています。

 

ちなみに、メインホール(藤原洋記念ホール)の入り口前にあるピラミッド付近でもWiFiがよくつながることを気づかれましたか?上述のようにこの場所は公共スペースなのでネットワーク機器は設置できないのです。が、ピラミッド付近は吹き抜けになっていて、上のフロアとも空間的につながっています。その階上フロアにひっそりと無線アクセスポイントが設置されていたのです。この設置場所はKMDのフロアのため、加藤先生の粋なはからいで実現できました。ピラミッドの椅子に座って休憩されていた方々も存分にお仕事?が出来たでしょうか。

  • 交流の機会
会期中は事前にあまり準備できていなかった監視系の構築や、超満員の会場でWiFiがつながりにくくなったため急遽無線アクセスポイントを増設したりと何かとバタバタしてあまりトークを見られませんでした。それでも懇親会やスタッフ部屋など普段接点のない方々と沢山お話ができました。

 

YAPCは懇親会が無料であったり、無限コーヒーや無限ドリンクなどほんとにソーシャル系の仕掛けが充実してるなぁという印象です。とくに協生館一階にあるHUB(英国居酒屋?)を貸しきって参加者は無料の(ほぼ)無限ビールを飲めるとあって連日大変な賑わいでした。
YAPC参加者が去年は1100人、今年は1300人超と増加しているのもうなずけます。

 

スタッフが沢山いたので初見ではこんなにいらないのでは?と思いましたが、会場が複数あるので各会場毎に相当の人数が必要で、また適切な役割分担と適度な余裕をもたせていることでうまく回っているなという印象でした。
今後もなにかしらで一緒につくっていきたいですね。

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